副鼻腔炎と肩こりの関係——鼻だけ診ても戻るとき、首と呼吸を見直す
鼻が詰まって、口で息をしている。朝から、おでこや目の奥が重い。耳鼻咽喉科で「副鼻腔炎」と言われて薬を飲み、楽になったと思ったら、またぶり返す。
そして、そういう方の多くが、もう一つ同じことを口にします。「肩こりもひどいんです」。
鼻と肩。離れた場所の不調が、なぜ一緒に出るのか。鼻は、首と呼吸を通して、肩とつながっています。今日はそのつながりの話です。
まず、副鼻腔炎は耳鼻咽喉科の治療が先です
副鼻腔炎は、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)の粘膜が炎症を起こしている状態です。細菌やウイルス、アレルギーなど原因はいろいろで、急に起きるものと、長く続くものがあります。
診断と治療は、耳鼻咽喉科で受けてください。鼻の中を見て、必要なら画像で確かめ、薬や鼻の洗浄、場合によっては手術まで、医師が判断します。これから書くことは、その治療の代わりではありません。治療と並行して、戻りにくい体を作るための話です。
つながり1:鼻が詰まると、呼吸を肩が手伝い始める
鼻が通らないと、口で息をします。口呼吸は鼻呼吸より浅く、回数が増えます。すると、本来は呼吸の主役ではない首や肩の筋肉(息を吸うのを手伝う筋肉)が、一日中はたらき続けることになります。
肩をすくめるようにして息を吸っている。胸の上のほうだけで呼吸している。鼻が詰まっている方の呼吸を見ると、そういう形になっていることが少なくありません。肩こりの一部は、呼吸の肩代わりをした筋肉の疲れです。
つながり2:頭の重さが、首に乗る
おでこや目の奥が重いと、人は無意識に頭を前に出します。画面をのぞき込むような姿勢です。頭は体重の約1割の重さがあり、前に出るほど、首の後ろと肩の上で支える負担が増えます。
鼻が詰まる日ほど、肩が重い。その順番には、理由があります。
つながり3:鼻の粘膜の腫れは、自律神経が調節している
鼻の粘膜には細かな血管が集まっていて、ふくらんだり縮んだりを自律神経が切り替えています。緊張や疲れが続いて切り替えがうまくいかなくなると、粘膜は腫れやすく、通りも悪くなります。
首や肩のこりが強い方は、体が緊張したままになっていることが多い。緊張が抜けない体は、鼻の粘膜にとっても、腫れが引きにくい環境です。鼻と肩は、同じ自律神経の影響を受けています。鼻とストレスの関係は、鼻詰まりとストレスの記事で詳しく書いています。
東洋医学では、鼻は「肺の窓」です
東洋医学では、鼻を「肺」が外とつながる窓と考えます。そして肺は、呼吸だけでなく、体の表面を守る力(衛気)とも関わるとされます。肺の気が弱ると、鼻の通りが悪くなり、首や肩の表面がこわばりやすくなる。鼻と肩を別々の不調と見ない、という点では、東洋医学の見方も同じ線の上にあります。
自分でできること
- 鼻が通る時間帯は、意識して鼻で息をする。口を閉じて、長く、ゆっくり吐く
- 首の後ろ、髪の生え際のくぼみ「風池(ふうち)」を、親指で左右同時に、気持ちいい強さで押す。首の緊張をゆるめるツボです
- 小鼻のすぐ横のくぼみ「迎香(げいこう)」を、人差し指の腹でやさしく押す
- 画面を見るときは、頭を前に出さず、画面のほうを目の高さに近づける
- 首元を冷やさない。朝晩はストールや襟のある服で守る
当院での見かた
当院では、耳鼻咽喉科の治療を続けていただいたうえで、首と肩の緊張、胸の前の縮み、呼吸の深さ、脈やお腹から体質を確かめます。鼻が詰まりやすい方は、首の後ろが張り、胸が縮こまって、呼吸が浅くなっていることが少なくありません。
そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼とお灸で、首から胸、背中をゆるめ、呼吸が深くなる体を作っていきます。顔のツボを使うこともあります。症状は煙で、原因は火の元。鼻という煙の下にある火の元を、一緒に探します。なお、効果や感じ方には個人差があります。
次の場合は、まず耳鼻咽喉科を受診してください。発熱を伴う、顔や目のまわりが腫れて強く痛む、物が二重に見える・見えにくい、血の混じった鼻水が続く、片側だけがずっと詰まっている、においが急に分からなくなった。薬を使っている方は、使い方を医師や薬剤師に相談してください。
鼻だけを診て、また戻る。それをくり返しているなら、首と呼吸にも目を向けてみてください。鼻が通る夜は、肩も少し軽いはずです。
鼻詰まりとストレス——泣けなかった涙が、鼻にたまっていませんか/首こりに鍼灸という選択——肩を揉んでも変わらない重さの正体/首こり・頭痛でお悩みの方へ
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