冷え性の原因は一つではありません——温めても冷える体の見分け方
靴下を重ねても、足先が冷たいまま。布団に入っても足が温まらず、なかなか寝つけない。
夏でも、冷房の効いた部屋では手先が冷えてしまう。
カイロを貼る。温かいお茶を飲む。生姜を摂る。できることはやっている。それなのに、冷えは毎年やってくる。
「冷え性は体質だから」。そう言われて、半分あきらめている方も多いと思います。
でも、冷え性の原因は、一つではありません。原因が違えば、温め方も変わります。効かなかったのは、あなたの努力不足ではなく、やり方が合っていなかっただけかもしれません。
冷えには「作れない冷え」と「届かない冷え」があります
体の温かさは、家の暖房に例えると分かりやすいかもしれません。
暖房には、熱を作るストーブと、その熱を部屋の隅々まで運ぶ配管があります。部屋が寒いとき、原因はストーブの火力が弱いことかもしれないし、配管が詰まって熱が届いていないことかもしれません。
体でいえば、ストーブは熱を生み出す力です。筋肉の量や、食べたものをエネルギーに変える力がここにあたります。配管は血の巡りです。作られた熱は、血液に乗って手足の先まで運ばれていきます。
- 作れない冷え:全身が冷える。疲れやすく、食が細い。温めてもすぐに冷める
- 届かない冷え:お腹や体の中心は温かいのに、手足の先だけが冷たい。肩こりや頭痛もある
ストーブが弱いのに配管ばかり掃除しても、部屋は暖まりません。配管が詰まっているのに燃料ばかり足しても、熱は隅まで届きません。
東洋医学では「気血」の不足と滞りを見ます
東洋医学では、体を温め、動かしている力を「気」、全身を養い巡るものを「血」と考えます。
冷えは、この気血が足りないのか、それとも巡っていないのか、という二つの方向から見ていきます。足りないのなら補う。滞っているのなら流す。同じ「冷え性」でも、使うツボも手当ての方向も変わります。
先ほどのストーブと配管の話と同じです。症状は煙で、原因は火の元。「冷え」という煙が同じでも、火の元は人によって違います。
首と自律神経も、巡りに関わっています
血管を広げたり縮めたりして、手足にどれだけ血を送るかを決めているのは、自律神経です。
緊張が続いて体が「動くモード」に入ったままだと、血液は体の中心に集められ、手足の先は後回しにされます。首や肩がいつも張っている方に、手足の冷えが一緒にある。これは、珍しい組み合わせではありません。
冷えだけを見て温めるのではなく、なぜ手足に血が届かないのか、その背景にある緊張にも目を向けることが大切です。
当院での見かた
当院では、まず冷えの出方を伺います。どこが冷えるのか、いつ冷えるのか、一緒に出ている不調は何か。脈やお腹、爪や皮膚の状態も確かめながら、「作れない冷え」なのか「届かない冷え」なのか、その両方なのかを見ていきます。
そのうえで、細い鍼とお灸で、足りない力を補い、滞りを流していきます。お灸は、じんわりとした温かさが体の奥に広がっていく手当てです。
変化は、夜に出ます。布団に入ってから足が温まるまでの時間が短くなる。靴下を一枚減らしても眠れる日が出てくる。なお、効果や感じ方には個人差があります。
なお、冷えの背景には、貧血や甲状腺のはたらきの低下など、医療機関での検査が必要なものが隠れていることもあります。急に冷えがひどくなった、体重の変化やむくみ、強いだるさを伴うといった場合は、まず医療機関を受診してください。
冷え性は、あきらめるしかない体質ではありません。まずは、あなたの冷えがどちらのタイプなのかを知ることから始めてみませんか。
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