めまい

首こりと耳鳴り——耳鼻科で異常なしと言われた方へ

夜のリビングでソファに座り、耳のあたりを押さえている女性

静かな部屋にいると、耳の奥で「キーン」と鳴っている。テレビを消したとき、布団に入ったとき、決まって聞こえてくる。


耳鼻科で聴力の検査を受けた。「異常はありません」と言われた。安心したような、そうでもないような気持ちで帰ってきた。だって、鳴っているのは事実だからです。


「疲れているせい」「気にしすぎ」。そう言われて、気にしないようにしようとするほど、かえって音が大きく感じられる。

でも――ひとつ確かめてみてほしいことがあります。その音が鳴る日は、首も重くありませんか。


首と耳は、思っているより近い場所にあります


耳のすぐ下から、首は始まります。耳の奥へ向かう血管も、そのあたりを通っています。


首から後頭部にかけての筋肉が長く緊張していると、その通り道が狭くなることがあります。トンネルそのものが壊れていなくても、中で渋滞が起きれば、向こう側に荷物が届かない。それと似たことが起こり得ます。


もうひとつ、首には自律神経――体を動かすモードと休むモードを切り替えるはたらきも通っています。動くモードが強いままだと、音に対する感じ方そのものが敏感になります。同じ音量でも、大きく聞こえる日と、気にならない日がある。この差は、耳ではなく、受け取る側の状態から来ていることがあります。しかしもう一方で副交感神経の異常興奮により、耳鳴りや耳のつまり感が出る場合もあります。


だから、聴力の検査で異常が出ないのに鳴っている、ということが起こり得るのです。検査が見ているのは耳のしくみで、首の通り道や切り替えの状態までは映りません。


「異常なし」と「問題なし」は、同じではありません


耳鼻科での検査は、無駄になるわけではありません。


耳そのものに病気が隠れていないかを確かめることは、いちばん最初にやるべきことです。

ただ、検査が見ているのは主に「形」と「数値」です。川に例えると分かりやすいかもしれません。川底の石が変形していなくても、途中に枝葉が溢まっていれば、水はそこでせき止められます。形に異常がなくても、流れに滞りがあることは珍しくありません。


壊れているのではなく、はたらきが落ちている。首から来る不調は、たいていこちら側の話です。


先に医療機関へ行っていただきたい場合


次のような場合は、鍼灸より先に、あらためて医療機関を受診してください。


  • 急に片耳だけ聞こえにくくなった
  • 強い回転性のめまいを伴う
  • 耳だれや強い痛みがある
  • 音が脈打つように「ドクドク」と鳴る
  • 顔や手足の動かしにくさを伴う

鍼灸は診断をする仕事ではありません。必要な検査を受けていただいたうえで、その先に残ったつらさを一緒に見ていく立場です。


当院での見かた


当院では、耳のまわりだけを触って終わりにはしません。まず体の土台がどう傾いているか、首がどの位置で頭を支えているかを確かめます。首が前に出た状態が続いていれば、後ろ側はずっと引っ張って支えていることになります。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼で深い層にはたらきかけながら、脈やお腹の状態も一緒に見ていきます。


変化は、静かな時間に出ます。布団に入ってから眠るまでのあいだ、音のことを考えていなかった日がある。テレビを消したあと、すぐに次のことをしている。「鳴らなくなった」というより、「気にしていない時間が増えた」という順で変わっていくことが多いです。なお、効果や感じ方には個人差があります。

耳の検査で異常がなかった。それなら次は、首のほうから確かめてみませんか。


検査で「異常なし」と言われた方へ自律神経の不調でお悩みの方へ