自律神経の不調

ストレスで首がこるのはなぜ?緊張が抜けない体の仕組み

オフィスのデスクで肩をすくめ、首の後ろから肩を揉んでいる女性

忙しい時期になると、決まって首が重くなる。肩にも力が入っている。気づくと歯を食いしばっている。


「ストレスのせいだろう」と、自分でも分かっている。だから、休めばいいのだと思う。週末にゆっくり寝る。ところが月曜の朝、首はもう重い。


「気持ちの持ちようだ」「考えすぎなだけ」。そう言い聞かせて、また一週間が始まる。


でも――これは気持ちの問題ではありません。根性が足りないわけでもありません。体の中で、実際に起きていることがあります。


体には、動くモードと休むモードがあります


自律神経というのは、自分で意識しなくても体を動かしてくれているはたらきのことです。飛行機のオートパイロットのようなもので、心臓を動かす、汗を出す、胃腸を動かす。こうしたことを、勝手にやってくれています。


このオートパイロットには、二つのモードがあります。動くモードと、休むモードです。


動くモードは、体を戦える状態にします。心拍が上がる。呼吸が浅く速くなる。そして、いつでも動けるように、筋肉に少し力を入れておく。


とっさに身構えるときのことを思い浮かべてください。肩が上がって、首がすくみますよね。あの形です。


緊張の続く日が長くなると、この状態が解除されにくくなります。一日の終わりにも、休日にも、肩が上がったままになっている。首の後ろは、ずっと引っ張って支え続けることになります。


休んでも抜けないのは、スイッチの問題です


ここが大事なところです。休めば抜けるはずのものが抜けないとき、足りないのは休む時間ではなく、モードを切り替えるスイッチのほうかもしれません。


車でいえば、アクセルを踏むのをやめただけでは、すぐに止まりません。ブレーキを踏む必要があります。休むモードに入るというのは、アクセルを離すことではなく、ブレーキを踏むことです。


そして、その切り替えを担う自律神経は、首の細いところを通っています。首の緊張と、切り替えのうまくいかなさ。この二つは、お互いに影響し合う関係にあります。首がこるからスイッチが入りにくくなり、スイッチが入らないから首がこる。


呼吸だけは、自分で切り替えられます


自律神経は自分で動かせないと書きましたが、ひとつだけ例外があります。呼吸です。


呼吸は、意識しなくても続いていますが、意識すれば変えることもできます。自律神経に、こちらから手をかけられる数少ない入口です。

やり方は難しくありません。吸うより、吐くほうを長くする。それだけです。鼻から軽く吸って、口から細く長く吐く。吐ききると、次は自然に入ってきます。数を数えなくて構いません。


肩を上げないことも、あわせて意識してみてください。息を吸うときに肩が上がる方は多いのですが、そのときお腹はふくらんでいるでしょうか。手をお腹に当ててみると分かります。


当院での見かた


当院では、首のこりを「ストレスのせい」で終わらせないようにしています。


まず、姿勢や骨格の配分を確かめます。首が前に出た状態が続いていれば、力を抜こうにも抜けません。支える配分が変わらなければ、また同じ場所が引き受けるからです。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼で深い層にはたらきかけながら、脈やお腹、手足の冷えも確かめます。緊張が抜けない方の背景には、眠りや食事のほうに理由があることも、たびたびあります。


変化は、気づきにくいところに出ます。仕事の合間に、一度大きく息を吐いている自分に気づく。夜、布団に入ってから寝つくまでの時間が短くなる。「リラックスできた」という感じより、「気づいたら力が入っていなかった」という順で変わることが多いです。


なお、効果や感じ方には個人差があります。


なお、気分の落ち込みが続く、眠れない日が長く続くという場合は、医療機関へのご相談もあわせてご検討ください。

休んでも抜けない首の力み。それは、あなたの気の持ちようではなく、スイッチの話かもしれません。


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