腰痛・坐骨神経痛

坐骨神経痛でやってはいけないこと——座り方・寝方・揉み方を見直す

椅子に浅く腰かけ、片手をお尻から太ももの裏に当てて痛みをこらえている人の横向きの姿

お尻の奥から、太ももの裏、ふくらはぎにかけて、電気が走るように痛む。座っているとじんじんしてきて、長く座っていられない。夜、寝返りを打つたびに目が覚める。


「坐骨神経痛かもしれない」と調べてみると、やっていいこと、やってはいけないことがたくさん出てくる。どれを信じればいいのか分からず、動くのも怖くなってしまった…。


でも坐骨神経痛は、何もかもを我慢しなければならないものではありません。避けたほうがいいことを知っておくだけで、毎日の負担は軽くできることが多いのです。


その前に、すぐ病院へ行ってほしいサイン


坐骨神経痛は、病名というより「坐骨神経の通り道に出る痛みやしびれ」の呼び名です。その背景には、腰の椎間板や背骨の変化、お尻の筋肉による圧迫など、さまざまな原因があります。原因を判断するのは医師です。


とくに、尿や便が出にくい・漏れる、股のまわりの感覚が鈍い、両脚がしびれる、足に力が入らない・つまずきやすくなった、安静にしていても強く痛む、発熱や急な体重減少を伴う、転倒やけがのあとから痛む。こうしたときは、様子を見ずにすぐ整形外科などの医療機関を受診してください。


ここから先は、医療機関で重い病気ではないと確かめたうえで、毎日の過ごし方に気をつけたい方に向けた話です。


やってはいけないこと1:同じ姿勢で長く座り続ける


座っているあいだ、お尻の奥には体重がかかり続けます。坐骨神経は、お尻の深いところを通って脚へ下りていくので、長く座るほど圧迫と緊張が続きやすくなります。


足を組む、片側のお尻に体重を乗せる、背もたれにもたれて骨盤が後ろに倒れた姿勢で座る。こうした座り方も、左右どちらかに負担を寄せやすくなります。

座るときは、両方の座骨(お尻の下の骨)に均等に体重を乗せ、深く腰かけて骨盤を立てる。そして、30分に一度は立ち上がって、少し歩く。座り方よりも、座り続けないことのほうが大切な場合もあります。


やってはいけないこと2:痛む場所を強く揉む・強く伸ばす


痛いところを、ぐいぐい揉みたくなる。お尻や太ももの裏を、痛みをこらえて伸ばしたくなる。その気持ちは、よく分かります。

でも、神経が過敏になっている時期に強い刺激を加えると、かえって痛みやしびれが増すことがあります。凝っている場所は、頑張っている場所です。痛む場所は、悪者ではなく、どこかをかばって踏ん張っている場所であることが多い。責めるように揉むより、まずは休ませることが先です。


ストレッチをするなら、痛みが出ない範囲で、呼吸を止めずにゆっくりと。「痛いけど効いている気がする」ところまでは行かないようにしてください。


やってはいけないこと3:痛い側を下にして、体を丸めずに寝る


寝ているあいだの姿勢は、一晩じゅう続きます。痛む側を下にして横になると、お尻の奥が押されたまま朝を迎えることになります。

横向きで寝るなら、痛む側を上にして、膝を軽く曲げ、膝のあいだにクッションや丸めたタオルをはさんでみてください。骨盤のねじれが少なくなり、お尻の奥がゆるみやすくなります。あお向けなら、膝の下に枕を入れて、腰が反りすぎないようにするのも一つの方法です。


どの姿勢が楽かは、原因によっても人によっても違います。いちばん大切なのは、「この姿勢なら痛みが落ち着く」という自分の姿勢を見つけることです。


やってはいけないこと4:痛いからと、ずっと寝たままでいる


強い痛みが出た直後は、無理に動かず休むことも必要です。ただ、痛みが少し落ち着いてきたのに、何日も横になったままでいると、筋肉がこわばり、かえって動き出しがつらくなることがあると言われています。


医師から安静の指示がある場合は、それを守ってください。そのうえで、痛みの出ない範囲で家の中を歩く、座り続けない。少しずつ「いつもの生活」に戻していくことが、回復の後押しになることが多いのです。


当院での見かた


当院では、まず医療機関での検査を受けているかを確かめ、お持ちの検査結果も参考に伺います。そのうえで、どの動きで痛みやしびれが出るのか、骨盤の傾き、股関節の動き、座り方や立ち方のくせを見ていきます。カイロプラクティックの視点で、坐骨神経の通り道に負担を寄せている体の使い方を探します。


そして、髪の毛ほどの細さの鍼で、お尻の深い層の緊張にはたらきかけます。揉んでも届きにくく、強く押すと痛みが出やすい場所です。東洋医学では、痛む脚の経絡の流れも見ながら、離れたツボを使うこともあります。


変化は、座っていられる時間に出ることがあります。会議の最後まで座っていられた。夜中に痛みで起きる回数が減った。そうした毎日の小さな変化を、一緒に確かめながら進めます。なお、効果や感じ方には個人差があります。


あらためて、しびれが広がってきた、力が入りにくい、排尿や排便に変化がある、痛みが日に日に強くなるといったときは、すぐに医療機関を受診してください。


痛む場所を責めず、負担を寄せている場所を見直す。それが、坐骨神経痛とつき合っていくうえで、いちばんの近道だと僕は考えています。


慢性腰痛が治らないとき——「腰が悪い」と言われ続けてきた方へ/肩こり・腰痛でお悩みの方へ

この記事を書いた人

若林 大(わかばやし・だい)/鍼灸colors 院長

はり師・きゅう師、カイロプラクティック理学士。治療家として25年、骨格と東洋医学の両面から体を診ています。

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