腰痛・坐骨神経痛

慢性腰痛が治らないとき——「腰が悪い」と言われ続けてきた方へ

うつ伏せの方の腰に手を当てて、状態を確かめている施術者(札幌市手稲区の鍼灸colors)

朝、起き上がるときに腰が固まっている。靴下をはこうとして、ふと手が止まる。夕方になると、立っているだけで重くなってくる。

病院でレントゲンを撮っても「骨に異常はありません」。湿布と痛み止めをもらって帰る。整体やマッサージにも通った。その日は軽くなるけれど、数日で戻る。


そんなことを何年も繰り返していると、こう思えてきます。「もう、この腰とは付き合っていくしかないのかな」と。


でも慢性腰痛が治らないのは、あなたの体が特別に弱いからではありません。痛んでいる場所と、痛みを作っている場所が、同じとはかぎらないからです。


「異常なし」は、「問題なし」ではありません


画像検査で異常が見つからない腰痛は、少なくないと言われています。これは、検査がいい加減だという話ではありません。レントゲンやMRIは、骨や椎間板の形を見るものだということです。


形に異常がなくても、使い方には偏りが出ます。立つとき、歩くとき、座っているとき。どこで支えているか、どこが休んでいるか。そこは写真には写りません。


僕はよく、症状は煙で、原因は火の元だとお伝えしています。腰という煙は見えやすい。でも火の元は、腰から少し離れたところにあることがあります。股関節の動き、足首の硬さ、背中の丸まり方、呼吸の浅さ。そのあたりです。


凝っている場所は、頑張っている場所です


腰が張っていると、そこを押したくなります。揉むと、その場は楽になる。マッサージに行くと軽くなるのも、同じ理由です。

ただ、凝っている場所は、多くの場合「悪い場所」ではなく「頑張っている場所」です。本来は他のところが分担するはずだった仕事を、腰が引き受けている。だからほぐしても、引き受ける理由がなくならない限り、また固まります。


重い荷物を片手で持ち続けたら、反対の手に持ち替えますよね。翌日に痛むのは持ち替えたほうの手ですが、元は最初に疲れていた側にあります。体の中でも、似たことが起きています。


だから僕が見るのは、「腰がどれだけ硬いか」よりも、「なぜ腰が頑張らなければならなくなったのか」のほうです。


腰を休ませるために、腰以外を見ます


腰は、上半身と下半身のつなぎ目にあります。上と下の動きが足りないと、そのぶんを腰が余計に動いて補います。

たとえば股関節。ここが硬いまま前にかがむと、足りない角度を腰が肩代わりします。たとえば足首。ここの動きが落ちていると、立っているときの重心が後ろに残り、腰のそりが強くなります。


そして、緊張です。仕事の気の張りつめた状態が続くと、体は「動くモード」から戻りにくくなります。そうなると、内臓の働きも、筋肉のこわばり方も同時に変わってきます。腰まわりだけが例外、ということはありません。


木だけを見ていても、その木が弱っている理由は分かりません。森のほうを見てはじめて見えてくる。そのうえで、実際に手を入れるのは木です。


当院での見かた


当院では、まず動いていただきます。前にかがむ、反る、ひねる。どこで動きが止まるのか、どこで痛みが出るのか。そして立ち姿勢の左右差、股関節と足首の動きを確かめます。カイロプラクティックの視点で、体重がどこに乗っているかを見ていきます。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼で、腰の深い層にある筋肉の緊張にはたらきかけます。表面を揉むだけでは届きにくい場所です。東洋医学では腰痛を「巡りの滞り」として見ることもあり、腰から離れた手や足のツボを使うこともあります。


腰だけを狙わないのは、腰だけが原因であることのほうが少ないからです。


変化は、動き出しに出ます。朝、起き上がるときのこわばりが短くなる。夕方、立っているのがつらくなる時間が後ろにずれる。「今日は腰のことを考えずに過ごせたな」と、あとから気づく日が増えていく。なお、効果や感じ方には個人差があります。


なお、安静にしていても強く痛む、だんだん痛みが強くなる、足のしびれや力の入りにくさがある、尿が出にくい・漏れる、発熱や体重減少を伴う、転倒やけがのあとから痛むといった場合は、様子を見ずに整形外科などの医療機関を受診してください。腰痛の原因を判断するのは医師です。まだ受診していない方は、まず医療機関で確かめてください。


何年も続いた腰痛を、僕は「もう仕方ないもの」だとは考えていません。長く続いたぶん、変わるのにも時間はかかります。それでも、腰が頑張らなくて済む体には、近づけていけると思っています。


肩こり・腰痛でお悩みの方へ/整体に通っても肩こりが治らないと感じたら

この記事を書いた人

若林 大(わかばやし・だい)/鍼灸colors 院長

はり師・きゅう師、カイロプラクティック理学士。治療家として25年、骨格と東洋医学の両面から体を診ています。

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