肩こり・首こり

肩こりとストレス——背負ってきたものが、肩に乗っていませんか

椅子に座り、片手を反対側の肩にのせて、張ったところをほぐしている人の後ろ姿

忙しい日が続くと、夕方には肩がパンパンに張っている。気を張る会議のあと、気づくと肩が耳のほうまで上がっている。


揉んでもらうと、その日は軽くなる。でも、数日もすれば元通り。「ストレスじゃない?」と言われても、ストレスをなくすことなんてできない…。

でも肩は、ただの筋肉のかたまりではないのかもしれません。肩は、人が何かを「背負う」場所でもあります。


緊張すると、肩は上がります


大きな音に驚いたとき、人は思わず肩をすくめます。身を守るための、とっさの反応です。


気を張る毎日というのは、この「すくめた肩」が下りきらないまま一日が続いている状態に近いのです。さらに緊張すると呼吸が浅くなり、本来はお腹で息をするところを、首や肩の筋肉で息をするようになります。肩は、一日中休めません。


凝っている場所は、頑張っている場所です。肩は、あなたの緊張を一日じゅう引き受けて、頑張っているのかもしれません。


東洋医学では、我慢は「肝」が引き受けます


東洋医学でいう「肝」は、体の中の気の巡りを、のびやかに保つ役目を担うと考えられています。我慢やイライラ、言いたいことを抑える毎日が続くと、この肝の気が滞りやすくなります。


肝と対になるのが「胆」で、その流れは首から肩の上を通っています。肩のいちばん高いところにある「肩井(けんせい)」というツボも、この流れの上にあります。我慢が続いて肝の気が滞ると、この流れに沿って、首や肩がぎゅっと張ってくる。そう考えるのです。


日本語には「肩の荷が下りる」「肩ひじを張る」「肩身が狭い」という言葉があります。昔から人は、心の重さを肩で感じてきたのかもしれません。東洋医学が、感情と体を切り離さずに見てきたのと同じ感覚です。「肩の荷」という言葉に、思わずうなずく方は少なくないはずです。


これは、あなたを責める話ではありません


たくさん背負ってきたのは、それだけ頼られてきたからです。我慢してきたのは、周りを大切にしてきたからです。肩が重いのは、あなたが弱いからではありません。


ただ、背負ったものを、ひとつも下ろさずに歩き続けることはできません。自分でできることを、いくつか挙げておきます。


  • 肩をぎゅっと耳まですくめて、息を吐きながらストンと落とす。何度かくり返すと、肩が下りる場所を体が思い出します
  • 肩のいちばん高いところ、首の付け根と肩先のちょうど真ん中の「肩井」を、反対の手の指でじんわり押します。妊娠中の方は強く押さないでください
  • 息を長く吐く。吐く息で、肩の力が抜けやすくなります
  • 今日ひとつだけ、誰かに頼む、または断ってみる。肩の荷を、ひとつ下ろす練習です


体の側から見た肩こりについては、整体に通っても肩こりが治らないと感じたらや、ストレスで首がこるのはなぜ?でも書いています。


当院での見かた


当院では、肩の高さの左右差、首の位置、胸の前の縮み具合、呼吸の深さを確かめます。あわせて脈やお腹を見て、気の巡りがどこで滞っているかを探します。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼とお灸で、揉んでも届きにくい深い層の緊張をゆるめ、肩から離れた手や足のツボも使いながら、巡りを整えていきます。施術の間に、お話を伺うこともあります。


変化は、夕方に出ます。いつもなら肩が張ってくる時間に、まだ余裕が残っている。気づいたら、肩が下りている。なお、効果や感じ方には個人差があります。


なお、左肩から腕、胸やあごにかけて痛みや圧迫感が広がる、息切れや冷や汗を伴う、といった場合は、心臓のサインのことがあります。様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。また、手のしびれや力の入りにくさがある、夜も眠れないほど痛む、けがの後から痛むといった場合も、まず医療機関で確かめてください。


肩が重いのは、背負ってきたものがあるからかもしれません。今日はひとつだけ、肩の荷を下ろしてみませんか。