睡眠・疲労

眠りが浅い・夢をよく見る——心が休めていないときの眠り

ランプの灯るベッドサイドに、開いたノートとペン、湯気の立つハーブティーが置かれた夜の寝室

ちゃんと寝ているはずなのに、朝起きた瞬間から疲れている。夢ばかり見て、眠った気がしない。夜中に何度も目が覚めて、そのたびに時計を見てしまう。

寝つけないわけではないから、病院に行くほどでもない気がする。「年齢のせいかな」「疲れているだけかな」。そう思いながら、浅い眠りの毎日を過ごしている方は、少なくありません。


でも眠りの深さは、年齢だけで決まるものではありません。眠りは、眠る前の体と心の状態を、そのまま映し出します。


眠りには、深いところと浅いところの波があります


眠りは、ひと晩じゅう同じ深さで続くわけではありません。深い眠りと浅い眠りが、波のように何度か繰り返されています。夢を見るのは、主に浅い眠りのときです。


ところが、昼間の緊張や気がかりが夜まで続いていると、体は「動くモード」から降りきれないまま眠りにつきます。すると深い眠りに入りにくく、浅い眠りの時間が長くなる。浅いところで何度も目が覚めるので、夢をよく覚えている。朝、眠った気がしないのは、そのためであることが多いのです。


東洋医学では、夢の多さは「心」が休めていないサインです


東洋医学では昔から、感情と体を切り離さずに見てきました。その中で「心」は、喜びとつながり、こころのはたらきが宿る場所とされています。そして夜になると、昼間に外へ向いていたこころのはたらきが、心に帰って休む。それが眠りだと考えるのです。


ところが、考えごとや心配ごとが続いて、心を養う力が消耗していると、こころのはたらきが落ち着いて帰ってこられません。眠りが浅くなり、夢が多くなる。東洋医学では、夢の多さを、心が休めていないサインのひとつとして見てきました。


「気が休まらない」「心配で夜も眠れない」。日本語にも、こころと眠りを結びつける言葉がたくさんあります。


これは、あなたを責める話ではありません


眠りが浅いのは、あなたの気持ちが弱いからではありません。それだけ多くのことを抱えて、昼間を頑張ってきたからです。夜になっても、こころがまだ見回りをしているのかもしれません。


自分でできることを、いくつか挙げておきます。


  • 眠る前のひとときは、画面から離れて、部屋の明かりを少し落とす
  • 頭の中にある考えごとを、寝る前に紙に書き出す。明日の自分に預けてから眠ります
  • 足元を温める。お風呂の後は、足先を冷やさないようにします
  • 手首の内側のしわの、小指側の端にあるくぼみ「神門(しんもん)」を、息を吐きながらやさしく押します。心の流れの上にあるツボです

胸のざわつきや動悸が気になる方は、動悸とストレスの記事も参考にしてください。


当院での見かた


当院では、首や肩の張り、胸の前の縮み具合、呼吸の深さ、脈やお腹の状態を確かめます。眠りが浅い方は、昼間の緊張が首や肩に残ったまま、呼吸が浅くなっていることが少なくありません。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼とお灸で、動くモードから降りられなくなった体をゆるめ、心を養い、夜に向けて休むモードへ切り替わりやすい体に整えていきます。施術中にうとうとされる方もいらっしゃいます。


変化は、朝に出ます。目覚めたときに、夢を覚えていない。夜中に目が覚めても、またすっと眠れる。「よく寝た」と思える朝が、少しずつ増えていく。なお、効果や感じ方には個人差があります。


なお、大きないびきをかく、眠っている間に呼吸が止まっていると言われた、昼間に耐えられないほどの眠気がある、気分の落ち込みや何にも興味が持てない状態が続いている、といった場合は、まず医療機関を受診してください。眠れない日が長く続いている方も、一度医師に相談してください。睡眠薬を使っている方は、自己判断でやめないでください。


夢が多いのは、こころがまだ帰り道の途中にいるからかもしれません。今夜は、少しだけ早めに明かりを落としてみませんか。


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