肩こり・首こり

五十肩の症状——夜中に肩の痛みで目が覚めるようになったら

夜の寝室。ベッドで横向きに寝た女性が、痛む肩に手を当ててかばっている後ろ姿

髪を結ぼうとして、腕が後ろに回らない。エプロンの紐が結べない。車に乗って、シートベルトに手を伸ばした瞬間に、肩の奥がずきっとする。

昼間はまだいい。つらいのは夜です。寝返りを打った拍子に肩が痛んで、目が覚める。痛くない向きを探して、また眠る。朝になると、肩が固まったように動かない。


使いすぎたのかな。寝違えたのかな。歳のせいかな…。


そのうち治るだろうと思って、もう何週間か経っている。そういう方が、少なくありません。


でも、五十肩は、肩だけの話で終わらないことがあります。肩が固まる前に、肩が頑張らされていた理由があることが多いのです。


五十肩の症状——当てはまる数より、組み合わせを見ています


五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。肩の関節を包んでいる袋や、その周りの組織に炎症が起きて、痛みと動きにくさが出る状態です。40代から60代に多いことから、四十肩・五十肩と呼ばれています。


次のようなことが、重なっていませんか。


  • 腕を横から上げていくと、途中で痛くて止まる
  • 髪を結ぶ、背中のファスナーを上げるなど、腕を後ろに回す動きがつらい
  • 夜、寝返りで痛んで目が覚める。痛む側を下にして眠れない
  • 朝がいちばん固い。動かしているうちに少しゆるむ
  • いつから痛くなったか、はっきり思い出せない


五十肩には、時期があると言われています。痛みが強く夜も眠れない時期。痛みは少し落ち着くけれど、肩が固まって動かなくなる時期。そして、少しずつ動くようになっていく時期。放っておいても時間とともに落ち着くことが多い、とも言われています。ただ、その「時間」が長い。年単位になることもあります。


当てはまる数より、僕はその組み合わせと、どの時期にいるかを見ています。時期によって、やっていいことと、やらないほうがいいことが変わるからです。


肩は、いきなり固まるわけではありません


長く開け閉めしていなかった扉の蝶番を、思い浮かべてください。錆びついて、動かない。ここで力まかせにこじ開けると、蝶番ごと壊れます。油を差して、少しずつ動かしていく。それしか方法がありません。


五十肩の肩も、似ています。痛みの強い時期に無理に動かすと、かえって長引くことがあると言われています。


ただ、ここで一つ考えてほしいことがあります。なぜ、肩だけが固まってしまったのか。


肩の関節は、首と、肩甲骨と、背中の上に乗っています。肩甲骨が背中の上を滑らかに動くから、腕は大きく回せる。ところが、猫背で肩甲骨が外に開いたまま固まっていたり、首が前に出て肩がすくんだままだったりすると、肩甲骨が動かない分を、肩の関節そのものが全部引き受けることになります。


凝っている場所は、頑張っている場所です。症状は煙で、原因は火の元です。五十肩という煙が上がっているのは肩でも、火の元は肩甲骨や背中、首の付け根にある。そういう方が、少なくありません。


整形外科と、当院でできること


肩の痛みには、五十肩以外の原因もあります。肩の腱が切れているもの、関節に石灰がたまるもの、首の神経から来るもの。見た目が似ていても、やることが変わります。まだ受診していない方は、まず整形外科で確かめてください。五十肩かどうかを判断するのは医師です。


整形外科での注射やリハビリは、痛みの強い時期を乗り切るうえで大切な手段です。それを受けながら、当院に来られる方もいらっしゃいます。

当院では、まず肩そのものより、肩甲骨がどれくらい動くか、背中の丸まり方、首の位置を確かめます。治療家として25年、骨格の側から見てきた視点です。


肩が動かない分を、どこが引き受けているのか。逆に、どこが動かないせいで、肩がすべてを背負っているのか。


そのうえで、髪の毛ほどの細さの鍼で、肩甲骨の裏側や首の付け根など、揉んでも届きにくい深い層の緊張にはたらきかけます。東洋医学では、肩の痛みを「巡りの滞り」として見ることもあり、肩から離れた手や足のツボを使うこともあります。


痛みの強い時期には、肩に直接触れずに進めることもあります。



動画:腕は上がるのに、痛い。肩の施術で診ているもの(約50秒)/YouTubeで見る


変化は、朝に出ます。服の袖に腕を通すとき、以前ほど身構えなくてよくなっている。夜、寝返りで目が覚める回数が減っている。「今日は少し動くかもしれない」と思える朝が、少しずつ増えていく。なお、効果や感じ方には個人差があります。


なお、転んだりぶつけたりした後から痛み出した場合、腕がまったく上がらない場合、肩が赤く腫れて熱を持っている場合、発熱を伴う場合、手や指のしびれや力の入りにくさがある場合は、様子を見ずにすぐ医療機関を受診してください。


肩が動かないのは、肩が悪いから、とは限りません。肩は、どこかの分まで頑張ってきたのかもしれません。その「どこか」を、一緒に探してみませんか。


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この記事を書いた人

若林 大(わかばやし・だい)/鍼灸colors 院長

はり師・きゅう師、カイロプラクティック理学士。治療家として25年、骨格と東洋医学の両面から体を診ています。

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